シングルセルレパトア解析
シングルセルレパトア解析では個々のT細胞 / B細胞のmRNAにそれぞれ異なるバーコードを付けることで、1細胞単位のTCR / BCR 発現を調べることができます。
標準的なレパトア解析では全細胞のTCR / BCR発現を包括的に解析しますが、シングルセルレパトア解析では、細胞ごとに高感度にレパトア発現を検出することができ、TCR / BCR 二量体配列の組み合わせも検出可能です。
なお、シングルセルレパトア解析に加え、シングルセル 5’RNA-Seqも実施可能です。
シングルセルレパトア解析の特徴

- 希少なTCR / BCR (Ig) 発現を検出
- 細胞ごとのTCR / BCR (Ig) が同定可能
- BCR(Ig)のH鎖 / L鎖または、TCRのα鎖 / β鎖 配列のペア解析が可能
- TCR / BCR解析と併せてシングルセル 5’RNA-seqも実施可能
サービス概要
当社は日本で唯一の10x Genomics社認証プロバイダーであり、高品質かつスピーディーなシングルセルライブラリー作製サービスを、リーズナブルな価格でご提供いたします。
お客様から細胞をご送付いただき、シングルセルレパトアライブラリーを作製します。ご要望に応じて、シーケンスやバイオインフォマティクス情報解析も行います。
詳細はサービスの流れをご確認ください。

サンプル調整のフロー
10x Genomics社のChromium Single Cell V(D)J Reagent Kitsを使用し、以下のフローでサンプルを調整します。
- 細胞凍結
- 細胞分散した後、40μmのフィルターを通しセルバンカー等の凍結溶液で凍結保存してください。凍結融解後に以下の条件を満たすことを事前にご確認ください。
細胞数100万細胞以上
生存率80%以上
細胞サイズは直径30μm以下
- 細胞溶解・セルカウント
- 細胞受領後、セルカウンターによる細胞数・生存率測定
- シングルセル単離
- オイルと水のドロップレットにより細胞を1つ1つに単離
細胞1つにつき1種類のバーコード配列がドロップレットに含まれる
- ライブラリー作製
- cDNA合成・PCR増幅
- シーケンス
- 5,000細胞以上解析・リード数5000/細胞以上(レパトア)、リード数2万/細胞以上(5’RNA-Seq。5’RNA-Seqも同時に行う場合)を基準にしてシーケンス画像追加
- データ解析
-
Cell RangerでFastq解析
- Estimated Number of Cells
- Mean Reads per Cell
- Number of Cells With Productive V-J Spanning Pair
- Cells With Productive V-J Spanning Pair (%)
- Paired Clonotype Diversity
- Cells With CDR3-annotated Contig (%)
- Cells With V-J Spanning Contig (%)
- バイオインフォマティクス解析
-
LoupeBrowser (10x Genomics社製ソフト)や独自パイプライン等を用いた解析例)
クラスタリング結果(UMAP)
各クラスタの発現遺伝子(Heatmap)+ Cluster-specific genes
各遺伝子発現解析(UMAP)
VDJ情報を追加し解析した遺伝子ごとの細胞割合
サンプル受け入れ条件
凍結細胞からの調整の場合、以下の条件を満たすサンプルのみ受け入れ可能です。
・ヒトまたはマウス細胞である
・細胞が単離された状態で凍結されている
・細胞数100万細胞以上
・(凍結融解後)生存率80%以上
・細胞サイズは直径30μm以下
・(ヒト生体試料・臨床検体の場合) 情報が匿名化されている
出張で新鮮細胞から対応できます
細胞数が少ない or 凍結するとバイアビリティが低くなる 場合、Chromium Single Cell Controllerを研究室に持ち込み、新鮮細胞からシングルセル化を行います。(別途オプション価格がかかります。)
TotalseqC-Hashtag抗体で複数サンプルを1検体分として調整可能です
特定のマーカーが発現されている細胞であれば、TotalSeqB-Hashtag抗体で細胞ごとにタグ付けし、複数サンプルをまとめて1検体として調整できます。 (別途オプション価格がかかります。)

・1検体当たりの解析対象が最大1万細胞のため、複数サンプル混合の場合、1サンプル当たりの解析細胞数はその分減少します。
・以下のマーカーが発現されている細胞に限ります。
ヒト:CD298 または β2ミクログロブリン
マウス:CD45 または H-2 MHCクラスI
・BioLegendのライセンスの都合上 、Totalseq抗体はお客様でご購入する必要があります。
ライブラリ作製の途中からご委託可能です
step1.5 GEM-RT Incubationまでお客様で実施いただき、サンプルと試薬を送付いただければ、step2.1 Post GEM RT-Cleanup – Dynabeadからご委託可能です。

10x Genomics社について

10xGenomics社は生物医学をさらに前進させ、疾患の理解と治療を変革させるビジョンと共に創立された、アメリカのライフサイエンステクノロジー企業です。10xGenomics社では生物学システムを解明するソリューションを、複雑な生物学に合致する解像度と規模で構築しています。装置、試薬キット、ソフトウェアから構成される製品を拡大し、がん、免疫、神経科学、発生学の研究分野において革新的な発見を可能にします。
10x Genomics社の提供するシングルセルソリューションはこれまでに世界中の多くの研究者に受け入れられ、デファクトスタンダードなプラットフォームとなっています。
ご使用例
近年シングルセルレパトア解析を使用してシングルセル解析独自の視点から様々な論文が発表されています。以下はその一例です。
料金・納期
細胞種や解析内容によっては、上下することもございます。
受託内容 | 金額(消費税抜) | おおよその納期 |
---|---|---|
10x Chromium Single Cell 5’RNA+BCR-seq (実験+シーケンス+解析) |
¥1,060,000 | 6週間 |
10x Chromium Single Cell 5’RNA+TCR-seq (実験+シーケンス+解析) |
¥1,060,000 | 6週間 |
死細胞除去オプション | ¥50,000 | お問い合わせください |
Totalseq抗体オプション2サンプル (実験+シーケンス+解析) |
¥80,000 |
よくあるご質問
シングルセルでレパトア解析をする意味は何でしょうか。
シングルセルシーケンスにより、TCRのα鎖 / β鎖あるいはBCRのH鎖 / L鎖のペアを検出することができます。シングルセルレパトア解析では、細胞ごとに異なるバーコード配列をmRNAに付加して解析を行います。TCR又はBCRに関連するmRNAも細胞ごとに分けられるため、各細胞がどのペアのTCR / BCR配列を持っているかがわかります。
どのくらいの細胞数・遺伝子数を検出することができますか。
最新の10x Genomics社のアプリケーションでは、最大で10,000 細胞、2,000 遺伝子を検出することが可能です。TCR又はBCRのペア鎖の検出率は通常80%以上です。ただし細胞の種類や状態、シーケンス条件により変動します。
TCR / BCRは全領域を検出できますか。
可変部の全領域を検出することができます。BCRはisotype情報も検出可能です。10x Genomics社のアプリケーションでは、Short readからLong readを生成するアルゴリズムが備わっており、シーケンスのリードよりも長い配列を生成することが可能です。
どのような検体を提出すればよいですか。
凍結した細胞を、ドライアイスを入れた状態でお送りください。1サンプル当たり、100万細胞、生存率80%以上が条件です。この条件以外のサンプルを希望される場合は、お問い合わせからご相談ください。
納品物は何でしょうか。
お客様がシーケンスをされる場合、ライブラリーを作製しお送りします。当社でシーケンスをする場合、シーケンス結果のFastqファイルとCell Ranger(解析ソフトウェア)での解析結果のデータをお送りします。
FACSやCITE-seqなどのオプション実験を追加することはできますか。
可能です。当社ではFACSをはじめ、最新の機器を揃えています。ご希望の実験をお問い合わせからご相談ください。
自分でシーケンスする場合、シーケンスの条件はどのようにしたらいいでしょうか。
10x Genomics社のSingle Cell VDJ-seqアプリケーションでは、以下の条件でのシーケンスが推奨されています。
TCR/BCRのみ
リード数:5,000リード以上/細胞
Read 1:26 cycle
i7 Index:8 cycle
i5 Index:0 cycle
Read 2:91 cycle
TCR/BCR + 5’ RNA-seq
リード数(TCR/BCR):5,000リード以上/細胞
リード数(5’ RNA-seq): 20,000リード以上/細胞
Read 1:26 cycle
i7 Index:8 cycle
i5 Index:0 cycle
Read 2:91 cycle