「エイズ対策実用化研究事業 (HIV感染の機構解明に関する研究)」事業採択のお知らせ

KOTAIバイオテクノロジーズ株式会社は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)が公募した平成30年度「エイズ対策実用化研究事業(HIV感染の機構解明に関する研究)」において、「HIV感染症治癒に向けての免疫病態の解明と改善に関する研究(研究開発代表者:立川愛)」が採択されましたので下記の通りお知らせいたします。

1. 採択された事業及び内容

「HIV感染症治癒に向けての免疫病態の解明と改善に関する研究」

本事業において、当社は国立感染症研究所と協働し国立感染症研究所が保有する長期経過解析可能なHIV感染者試料を用いてHIV感染症におけるT細胞*1の機能的多様性*2の変化を解明します。慢性期HIV感染者の免疫システムは高齢者と類似しているとされ、各個人が持つT細胞の多様性と病態やHIV以外の疾患リスクとの関係を明らかにすることで、HIV感染者のみならず高齢化社会における疾患リスク評価とQOL向上に寄与するものと考えております。

2. 研究組織

研究開発代表者 立川 愛(国立感染症研究所 エイズ研究センター 室長)
研究開発分担者 金子 新(京都大学 iPS細胞研究所 准教授)
三浦 智行(京都大学 ウイルス・再生医科学研究所 准教授)
石井 洋(国立感染症研究所 エイズ研究センター 研究員)
田原 強(理化学研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター 研究員)
山下 和男(KOTAIバイオテクノロジーズ株式会社 代表取締役)

3. 研究開発予定期間

平成30年4月1日-平成33年3月31日

以上

用語説明

*1)T細胞

我々の血液の中にある白血球に含まれるリンパ球と呼ばれる細胞の一種。T細胞受容体(TCR)という分子を細胞表面に発現し、個々の細胞が異なる対象を認識することで、多様な病原体等から体を守る働きをする。我々の体の中にあるTCRの多様性は1018種類に及ぶとも言われており、TCRは個人がこれまで暴露してきた病原体等を反映するため個人間で共有されているTCR配列は非常に少ない。

*2)機能的多様性

個々のTCRはそれぞれが異なる抗原(細胞表面のHLA分子に提示されたペプチド)を認識するが、同じ抗原を認識するTCRでもほとんどの場合DNA配列が異なる。しかし生物学的には同じ機能を有しているため、これらを同じグループとして扱うことで、免疫システムの機能的多様性を議論することができる。当社はこのグループ化の技術を有しており、本事業においてはこれをさらに高度化させながら応用する。