事業内容

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研究者・医療従事者向け

このページでは研究者・医療従事者の方向けに事業内容をご説明をいたします。以下に並ぶ用語の説明が必要な場合には「一般の方向け」のページもご用意しておりますので、そちらをご覧ください。

免疫レパトアとは?

リンパ球を構成する、T細胞、B細胞は獲得免疫応答における主要なプレイヤーであり、その表面に抗原認識分子であるT/B細胞受容体(TCR/BCR)を発現していることを1つの特徴としています。

これらの受容体により、免疫系は抗原特異的な応答をすることができます。免疫レパトアとは、これらTCR/BCRの総体を意味しています。

免疫レパトア:異なるT-/B-細胞の受容体の総体

TCR/BCRは利根川進先生がノーベル生理学・医学賞を受賞された研究であるV(D)J遺伝子再構成という特異なメカニズムによって作られることが知られています。

このメカニズムはV、D、J遺伝子群からそれぞれ1つずつの遺伝子を選んで組み合わせ、1つの受容体分子を構成します。さらに、それらの遺伝子間にはN配列と呼ばれる鋳型のない配列がはめ込まれることで、1012とも言われる膨大な多様性を生み出しています。

V(D)J遺伝子再構成による多様性の獲得

免疫レパトアの可能性

免疫レパトアを構成するTCR/BCRは抗原特異性が高く、またT/B細胞は免疫記憶によって1度であった抗原を長期間にわたり記憶することができます。

この性質は、バイオマーカーに非常に有望です。すなわち、どのような抗原をこれまで経験したのか、今どういった応答をしているのか、何に備えているのか、の情報を含んでおり、診断や予後、薬剤有効性予測など多くの応用が期待されます。

また、がん特異的なT/B細胞はそのままT細胞療法や抗体医薬といった薬となる可能性があり、膨大なヒトの免疫データを解析することで創薬標的や薬剤候補物まで見つかると期待されています。

免疫レパトア解析の課題

免疫レパトアはその膨大な多様性により抗原特異性を獲得していますが、その多様性によってデータ解析上大きな問題を抱えています。V(D)J遺伝子再構成は個人の中で絶えず繰り返されるプロセスであり、生成されデータとして得られる受容体配列は個人間においてほとんど(<1%)共有されません。

しかし、同一抗原に対し免疫応答は確かに起きており、これは個人間では同じ抗原(エピトープ)に対して異なる配列を持つ分子が応答していることを意味します。すなわち、同じ抗原(エピトープ)に対する応答にも関わらず、対応する受容体配列データは個人間で異なることになり、データ上同じ応答を起こすように見えないのです。

つまり、受容体配列が異なっても同じ抗原を認識することがあるため、AI技術を用いて受容体の立体構造や特異性予測の必要性が明らかになったのです。

免疫レパトア解析の課題

KOTAIの技術・強み

当社はこの問題を乗り越え、同じ抗原エピトープを認識するTCR/BCRを配列を超えてクラスタ化(=同一視)するAIアルゴリズムを開発いたしました。これにより、抗原エピトープとTCR/BCRを関連づけることが可能になり、免疫レパトアが持つ有用性を十分に利用することができます。

KOTAIの技術・強み

また、このアルゴリズムは感度においても速度においても世界トップであり、希少疾患のような小さな患者群から統計的に有意なクラスタを探索したり、数千人規模の大規模なコホートの解析を行ったりすることができます。

これらの結果が非常にユニークなアルゴリズムから創出されるものであることから、同定されるバイオマーカーや創薬標的は非常に新規性の高いものであることが期待されます。

標的疾患について

当社は、がんと自己免疫疾患領域に注力しております。さらに、感染症領域についても国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成に基づき、研究を進めています。