シングルセル遺伝子発現Flex
ホルマリン固定した組織や細胞のmRNAをプローブを用いて検出し、遺伝子発現解析をシングルセルレベルで実施するアプリケーションです。
シングルセル遺伝子発現Flexは固定した細胞での遺伝子発現解析を行うことが可能です。
- 培養細胞や凍結細胞を固定して解析
- 組織を固定後に分散して解析
- FFPEブロックから切り出した切片を分散して解析
シングルセル遺伝子発現Flexの特徴
- これまで解析が難しかった、凍結組織やFFPEブロックからシングルセル解析が可能
固定組織(10x Genomics社試薬による固定、FFPE等)から細胞、核、FACSソート細胞まで、これまで対応できなかったサンプルも容易に解析できるようになりました。 - 細胞・組織を固定することで、解析したいタイミングを逃さない!
解析したいタイミングで採取したサンプルを固定すれば、長期間解析品質を損なわずサンプルを保管することが可能です。これにより、柔軟な実験計画が可能になります。 - Multiplex解析で検体あたりの費用を抑えつつ、多検体解析に対応
Flex試薬は1、4または16-plexの同時解析が可能な設計で、サンプルあたりのコストが改善しています。サンプル数に応じて定価設定が異なりますので詳しくはお問い合わせください。 - より高感度な遺伝子検出
プローブによる全トランスクリプトーム解析技術を用いることで、 分解したRNAや低発現遺伝子も検出しやすくなりました。
サービス概要
シングルセル遺伝子発現Flexは固定した細胞に異なるバーコードがついたプローブをハイブリダイゼーションし、このプローブを検出することで多検体の同時解析が可能なサービスです。従来のシングルセル解析では難しかった壊れやすい細胞やターンオーバーの早い細胞にも対応出来、多検体を同時に解析することでよりリーズナブルな価格でのご提供が可能となりました。
お客様から固定細胞・固定組織・FFPEブロック等をご送付いただき、シングルセル遺伝子発現Flexライブラリーを作製します。凍結細胞の場合は固定からの受託も可能です。ご要望に応じて、シーケンスやバイオインフォマティクス情報解析も行います。
詳細はサービスの流れをご確認ください。
サンプル調製のフロー
10x Genomic社のChromium Fixed RNA Profiling Reagent Kitを使用し以下のフローでサンプルを調製します。
- 固定組織や固定細胞、固定核又はFFPE切片のご準備
-
Chromium Next GEM Single Cell Fixed RNA Sample Preparation Kit を使用し組織や細胞、核を固定し、プロトコルに従って凍結、輸送してください。
FFPEブロックの場合は25μm厚又は50μm厚で薄切し、分散後に150万個以上に相当する切片枚数をクール便で輸送してください。
固定後の組織のDV200は50%以上であることが望ましいです。(社内データ)
細胞の場合は凍結細胞をお送りいただいても結構です。(固定費用別途)
参考:
細胞固定プロトコル(10x Genomicsのサイト)
組織固定プロトコル(10x Genomicsのサイト)
- 組織分散・セルカウント
- 固定組織やFFPE切片をお送りいただいた場合は組織分散を行います。(費用別途)
組織分散後又は固定細胞・核受領後、セルカウンターによる細胞数測定を行います。
- RNA抽出・DV200測定
- 固定細胞・核からRNA抽出を行いDV200を測定します。
- シングルセル単離
- ChromiumXを用いてオイルと水のドロップレットにより細胞を単離します。
- ライブラリー作製
- cDNA合成・PCR増幅
- シーケンス
- 細胞あたり1.5万ペアリードで解析します。
それ以上をご希望の場合はご相談ください。
- データ解析
- Cell RangerとLoupe Browser (10x Genomics社製ソフト)を用いた解析を行います。
サンプル受け入れ条件
凍結細胞からの調製の場合、以下の条件を満たすサンプルのみ受け入れ可能です。
凍結細胞 | 固定細胞 | 固定組織 | FFPE切片 |
---|---|---|---|
「細胞固定」追加オプションが必要 | ー | 「組織分散(10x試薬固定)」追加オプションが必要 | 「組織分散(FFPE)」追加オプションが必要 |
>200万細胞 | >150万細胞 | 分散後に150万個以上に相当する組織量 | 分散後に150万個以上に相当する切片枚数 |
融解後生存率 >80% | ー | ー | ー |
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10x Genomics社について
10xGenomics社は生物医学をさらに前進させ、疾患の理解と治療を変革させるビジョンと共に創立された、アメリカのライフサイエンステクノロジー企業です。10xGenomics社では生物学システムを解明するソリューションを、複雑な生物学に合致する解像度と規模で構築しています。装置、試薬キット、ソフトウェアから構成される製品を拡大し、がん、免疫、神経科学、発生学の研究分野において革新的な発見を可能にします。
10x Genomics社の提供するシングルセルソリューションはこれまでに世界中の多くの研究者に受け入れられ、デファクトスタンダードなプラットフォームとなっています。
解析例
(当社にて取得したデータ。Cell Ranger解析結果へのリンク。)
固定組織解析例 (マウス大脳)
FFPE組織解析例 (マウス大脳)
料金・納期
細胞種や解析内容によっては、上下することもございます。
受託内容 | 金額(税別) | おおよその納期 |
---|---|---|
Flex(Fixed RNA Profiling) |
1サンプル:¥880,000
4サンプル:¥1,720,000
※他サンプル数の場合、お問い合わせください
|
お問い合わせください |
細胞固定 | サンプル当たり¥45,000 | お問い合わせください |
組織分散(10x試薬固定) | サンプル当たり¥40,000 | お問い合わせください |
組織分散(FFPE) | サンプル当たり¥64,000 | お問い合わせください |
よくあるご質問
通常のシングルセル解析との使い分けは?
解析対象の細胞数が非常に少ない場合、固定により解析対象の細胞が失われる可能性が高く、通常のシングルセル解析をお勧めいたします。
ヒト、マウス以外の生物種についてはFlexは対応できませんので通常のシングルセル解析をご選択ください。また、全長配列を必要とするレパトアや、遺伝子変異の検出も対応しておりません。
Multiplexは異なる組織のサンプルも同時に解析できますか?
同一生物種(ヒト又はマウス)であれば混ぜることは可能ですが、細胞の大きさが極端に異なる場合はプローブハイブリダイゼーション後の洗浄工程で細胞集団やサンプルの偏りが生じることがあります。
どのくらいの細胞数を解析することができますか?
1サンプルあたり最大8,000細胞の解析が可能です。
どのような検体を提出すればよいですか。
Enhancer(10X Genomics社の固定試薬キットに含まれています)およびGlycerolを加えて凍結した固定組織、固定細胞又は固定画をドライアイスを入れた状態でお送りください。FFPE切片をお送りいただく場合は保冷剤を入れクール便でお送りください。1サンプル当たり、150万細胞以上が条件です。凍結細胞をお送りいただく場合は、1サンプル当たり200万細胞、生存率80%以上が条件です。この条件以外のサンプルを希望される場合は、お問い合わせからご相談ください。
組織の固定はどうすればいいですか?
組織は生または液体窒素保管された組織を用いて、10x GenomicsのChromium Next GEM Single Cell Fixed RNA Sample Preparation kitを使用して固定してください。固定のプロトコルはこちらをご参照ください。
納品物は何でしょうか。
お客様がシーケンスをされる場合、ライブラリーを作製しお送りします。当社でシーケンスをする場合、シーケンス結果のFastqファイルとCell Ranger(解析ソフトウェア)での解析結果のデータをお送りします。
シーケンス方法
基本的に細胞あたり1.5万ペアリード読みます。Read1、Read2については以下の通りです。
リード数:5,000リード以上/細胞
Read 1:28 cycle
i7 Index:10 cycle
i5 Index:10 cycle
Read 2:90 cycle
データ保管について
解析データやお客様のサンプル情報等は納品後、3ヵ月まで当社内で保管しています。3ヵ月を経過すると廃棄しますので、予めご了承ください。