空間的トランスクリプトーム解析 Xenium In Situ
Xenium In Situ はFFPE切片または新鮮凍結切片に対して空間的トランスクリプトーム解析を行うことが可能です。
現在、研究助成プログラム「Research Acceleration Program by KOTAI vol.1」が実施中です。詳しくは研究助成プログラムのページをご覧ください。
「信頼性基準」に基づいたサービスの開始について
弊社では、信頼性基準に準拠した受託解析サービスを2024年4月より開始します。医薬品の製造販売承認申請に用いられる解析データを信頼性保証体制のもと取得します。試験内容に合わせ、お客様のニーズに応じた高い品質のサービスを提供いたします。
Xenium In Situ受託開始記念キャンペーン(先着15件限定)は終了いたしました。
空間的トランスクリプトーム解析 Xenium In Situの特徴
- Xeniumは高い感度と特異性を有するプローブを用いてIn Situ Hybridizationを行い、数百種ものターゲットRNAの発現を1細胞レベルの解像度で直接検出します。
- イメージング可能領域は10.45mm x 22.45mm、領域内に一個の大きいサンプルまたは複数の小さいサンプルを貼りつけて解析することができます。
- Xeniumで解析後の組織切片を用いて、H&E染色やVisiumによる空間的遺伝子発現解析を実行することも可能です。
サービス概要
お客様が作製されたFFPE切片あるいは新鮮凍結切片を弊社よりお送りするXenium専用スライドに貼り付け、弊社までご送付ください。その後、Xenium In Situを実施します。
ご要望に応じて、切片作製や、カスタムプローブ作製支援も行います。(料金別途)
検出方法の概要
Padlock probeと呼ばれるターゲットとなる遺伝子に相補的な配列を両端に持つプローブを使用することで、ターゲットの遺伝子に正しくハイブリダイゼーションしたプローブだけがプローブ両端のライゲーションによりサークルを形成します。
サークル状になったプローブに対してローリングサイクル増幅反応をかけることで蛍光物質の結合サイトを多数持つ長鎖DNAが生成されます。
結合サイトに蛍光物質のついたプローブをハイブリダイズします。
Xenium Analyzer で蛍光を解析し、ターゲット遺伝子の発現を高い感度と特異性で検出することが出来ます。
サンプル調製のフロー
10x Genomic社のXenium In Situ Gene Expression Reagent Kitsを使用し以下のフローでサンプルを調製します。
プローブセットについて
Xenium In Situでは事前に検証された遺伝子パネルセットを使用することが出来ます。
設計済みパネルに無い遺伝子等を目的とする場合にはカスタムパネルを設計することも可能です。
設計済みパネルと主なターゲットは以下の通りです。
ヒト
乳腺:乳腺細胞、上皮細胞、脂肪細胞、腫瘍など(280遺伝子)
脳:アストロサイト、ミクログリア、膠芽腫、アルツハイマー病、パーキンソン病など(266遺伝子)
肺:I型&II型肺胞上皮細胞、線毛細胞、内皮細胞、COVID-19など(289遺伝子)
マルチ組織:乳房、結腸、心臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓などの遺伝子マーカー(377遺伝子)
大腸:吸収上皮細胞、内分泌細胞、杯細胞、パネート細胞、線維芽細胞など(325遺伝子)
皮膚:ケラチノサイト、メラノサイト、血管内皮、メラノーマなど(282遺伝子)
がん免疫:免疫細胞、チェックポイント等 (380遺伝子)
マウス
脳:アストロサイト、インターニューロン、ミクログリア、オリゴデンドロサイトなど(247遺伝子)
組織アトラス:膀胱、骨髄、脳、心臓、腎臓、四肢筋、肺、膵臓、胸腺などの遺伝子マーカー(379遺伝子)
10X Genomics社のHPから各パネルの遺伝子リストをダウンロードすることが出来ます。
お客様の興味ある遺伝子が含まれているか十分に確認し、必要に応じてカスタムプローブの追加(各パネルに最大100種類のプローブを追加することが可能です)をご検討ください。
カスタムプローブのデザインから受け取りまでには3ヶ月程度の時間がかかるため、お急ぎの場合にはお気をつけください。
サンプル受け入れ条件
OCT包埋された新鮮凍結切片 | FFPE切片 |
---|---|
専用の Xenium slide の表側に切片を貼り付けていること | |
Fiducial(解析エリアの外側にある+マーク)に切片が重なっていないこと | |
10μm厚 | 5μm厚 |
事前に別途切片を作製しHE染色・イメージングし、崩れがないことを確認していること 注)事前確認は通常のスライドガラスに貼り付けて実施してください |
10x Genomics社について
10xGenomics社は生物医学をさらに前進させ、疾患の理解と治療を変革させるビジョンと共に創立された、アメリカのライフサイエンステクノロジー企業です。10xGenomics社では生物学システムを解明するソリューションを、複雑な生物学に合致する解像度と規模で構築しています。装置、試薬キット、ソフトウェアから構成される製品を拡大し、がん、免疫、神経科学、発生学の研究分野において革新的な発見を可能にします。
10x Genomics社の提供するシングルセルソリューションはこれまでに世界中の多くの研究者に受け入れられ、デファクトスタンダードなプラットフォームとなっています。
ご使用例
(今後社内での検討データを掲載予定)
料金・納期
受託内容 | 金額(消費税抜) | おおよその納期 |
---|---|---|
Xenium In Situ |
1,800,000円 |
6週間 |
パネル費用 |
66,000円~ |
詳しくはお問い合わせください。 |
カスタム100遺伝子追加 |
1,250,000円~ |
よくあるご質問
受託時のカスタムパネル使用について
カスタムパネルの設計はお客様自身でターゲット遺伝子を選択し、10X Genomics社に発注していただきます。通常カスタムパネルの設計から納品までは3ヵ月程度かかりますので余裕を持って実験計画を建てていただきますようお願いします。
カスタムパネルに追加する遺伝子はプローブの発現量は高過ぎると蛍光が飽和(Optical crowding)し発現細胞からの遺伝子検出が難しくなります。また、発現の低い遺伝子も検出が難しくなります。カスタムパネルの設計にあたっては対象組織のシングルセル解析による遺伝子発現のデータを参照し、カスタムパネルに含まれる遺伝子の発現量を確認することが推奨されます。
カスタムパネル設計のフローや注意点などは下記のサイトをご参照ください。https://www.10xgenomics.com/jp/support/in-situ-gene-expression/documentation/steps/panel-design/xenium-panel-getting-started
弊社のバイオインフォマテシャンによるカスタムパネル作製支援も可能です。お気軽にお問い合わせください。
解析検体の品質に条件はありますか?
10X Genomics社ではDV200やRIN値による制限を設けておりませんが、事前にRNA抽出を行い、一定程度分解されていないRNAが残っていることを確認しておくことをお勧めします。
納品物は何でしょうか。
Xenium Analyzerから出力されるファイルを納品します。
データ保管について
解析データやお客様のサンプル情報等は納品後、3ヵ月まで当社内で保管しています。3ヵ月を経過すると廃棄しますので、予めご了承ください。